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大阪府大阪市M邸

建築家:阿久津友嗣

以前に滞在されたことのある、バリ島のコテージのイメージを希望していたMさんご夫妻。家を建てるなら建築家に依頼しようと、2003年6月ザ・ハウスに来店されました。

建築家・阿久津友嗣さんは、都市空間の中での「バリ」というテイストを、コテージの要素であるテラス、緑、水で表現しました。3階のリビングと一体の屋上テラスでは、都心でありながら建物の目の前に横たわる川を経て、そのむこうにはダイナミックな高層ビル群が眺望できます。大きな水面に映しだされたビル群の柔らかな光の夜景を眺めることができる、リゾートにいるような寛ぎに満ちたこの住宅は、2004年11月に完成。

楽しみながら積極的に家を建てることに関わり、施主として非常にハイレベルと建築家に言わしめたMさんにお話を伺いました。
家を建てようと思った経緯は?

仕事柄転勤の可能性があり、これまでずっと賃貸マンションに住んでいました。最近になって暫く大阪住まいが続く見通しとなった為、毎月家賃を払うなら持ち家にした方が良いのでは、と考えました。当初は分譲マンションを探しましたが、なかなか好みと大型犬を飼っているなどの条件が合わず、それならば土地を買ってそこに自分達の希望通りの家を建てよう、と決心しました。


当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?

家を建てる=建築家に依頼する、と考えていました。
大阪府大阪市M邸/阿久津友嗣設計
建築家・阿久津友嗣さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?

全体的には、以前、私達がバリ島に旅行したとき非常に気に入った、あるヴィラのイメージで、とお願いしました。
その他には、
・食べることが好きなので、キッチンとダイニングを重視した家
・土地のロケーションや眺望を最大に取り入れた気持ちのよい空間
等々の希望をお伝えしました。


実際に生活していかがでしょうか?

まだ半年(昨秋から今春)ですが、冬の寒さや春の気持ち良さなどがストレートに味わえる楽しい家になったなと思います。もちろんそうなることは、予め分かっていたのですが・・・。
大阪府大阪市M邸/阿久津友嗣設計 ザ・ハウスを利用しての感想は?

複数の実績ある建築家との接点を作っていただいたり、資金繰りに関して融資先担当者や実際に施工を依頼する工務店まで紹介していただいたりと、大変お世話になりました。その中でもお世話になったスタッフのきめ細かい心遣いがさり気なく感じられ、非常に満足しております。
これから建築家と家を建てる方に一言

とにかく複数の建築家と実際に会ってみて、色々な意味で自分達に一番合うと思われる人を捜し当てることが大事でしょうね。それと建築家任せにしないで自分たちも積極的に家を建てることに関わると、楽しみも倍増すると思います。
阿久津友嗣 建築家・阿久津友嗣さんのインタビュー
はじめにMさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?

ザ・ハウスから面談の連絡が入ったとき、「バリ風の家」を希望されていると聞き、これまで色々な施主と打合せをしてきましたが、「バリ風」というように具体的なイメージを持っておられたのは初めてのケースで、「茅葺屋根」とか「コテージ」とかを希望されるのかな、などと思いながら面談に臨みました。
実際に話を伺うと、そのような具体的な素材や形態より、むしろ夫妻が以前滞在されたコテージ形式のヴィラの持つ「空間性」の方を重視しているのだということが理解でき、私の旅の体験などの話を交え、私と価値感を共有することの出来るご夫妻であるとの印象を持ちました。

具体的にはどのような形でご要望に応えていったのですか?

まず、2つある敷地の候補の検討から入り、結局、高層ビルを正面に眺めることの出来る都市型の敷地が選ばれました。「バリ」というテイストを、都市空間の中にどの様に現代建築として構築できるかということが今回の終始一貫したテーマでありました。
大阪府大阪市M邸/阿久津友嗣設計
バリのコテージの持つ「半戸外」空間が、私もMさんも気に入っていたのと、私と同じく大きなラブラドール犬を飼われていたことに着目して、当初案は、建物四周をすべて木の格子で囲んでしまい、その中にぐるぐる回れるドッグランを兼ねた半戸外テラスを設けるというものでした。しかし、大阪市が防火の面から木の格子を認めてくれませんでした。

現在の案は、Mさんの最初からの要望だったバリのコテージの要素であるテラス、緑、水を家の核としてプランニングし直したものです。3階の半分を屋上テラスとして、ここに芝(緑)、池(水)を配し、リビングからテラス越しに高層ビル群が眺められるように計画しました。


Mさんとのお打合せはいかがでしたか?

当初イメージしたステレオタイプの「バリ」から打合せを重ねるにつれ、Mさんご夫妻は同時に洗練されたモダンテイストも好みなのだということが分かってきたこと、また当初から「黒い」家にしたいというMさんの希望もあり、最終的には、黒のガルバリウム鋼板に包まれた現代的な表現の住宅となりました。

打合せには必ずご夫妻で参加され、打合せ内容をしっかりノートに記入されるなど、密度の高い打合せができました。そして求められる要望も実に明快でした。工事が始まってからも、週1回の現場打合せに必ず参加していただき、素材や色などの細かなチェックを一緒に行なうことができました。施主として非常にハイレベルであったという印象です。
大阪府大阪市M邸/阿久津友嗣設計 これから建築家と家を建てる方に一言

最近思うのですが、建築家がメディアなどの影響で建て主にとって身近になった分、建て主と建築家の関り方が少し変わってきたように感じます。つまり、建築家に対し、ハウスメーカーなどの大企業と同じような接し方をする方が増えてきているように思います。

私は、建築家は最終的には「個人」であると思います。建て主も個人であるなら、建築家も全く同等の一個人なのです。
個人対個人として関係がうまく築けたときに、おそらく建築家は最大限の能力を発揮するし、結果として建て主は希望する、さらにはそれ以上の家を手にすることが出来るのだと思います。


所在地:大阪府大阪市
設 計:阿久津友嗣事務所
施 工:木村工務店
竣 工:2004年11月
敷地面積:102.82平米(33.16坪)
延床面積:172.40平米(52.24坪)