建築家と家を建てるとは

建築家との家づくり

建築家は建て主サイドに立ち
監理にあたります

建築家の大きな役割として工事監理があります(建築家で住宅を建てる場合は、建築家と設計監理契約を、工務店と工事請負契約を別々に結ぶことになります)。
工事監理とは、建て主に許可を得た設計図面どおりに工事が進んでいるかを確認する作業です。

工事監理者は法律で決められた役割ですので、ハウスメーカーや工務店で建てる場合にも必ず任命されますが、 ハウスメーカーや工務店の場合は社内で工事監理者を任命する場合がほとんどですので、自社で自社を監理することになり、正常なチェック機能は働きません。 あくまでもその会社の良心の範囲において監理する、ということになります。

建築家が施工の都合よりも建て主の利益を優先した家づくりを行う役割を果たすことで、工事に対する客観的なチェック機能が働き、工事のミスや手抜きを未然に防ぐことが可能になります。

ステューディオ2アーキテクツ「暮らしに向き合い、生まれた家」

ステューディオ2アーキテクツ
「暮らしに向き合い、生まれた家」

「暮らし」をデザインをする

建築家との家づくりの醍醐味は、ひとりひとりの建て主の価値観にあわせた家ができることです。それは「見た目」のデザインだけではなく、 使い勝手や快適性に影響する「暮らし」をデザインをすることにもつながります。
法令・予算以外の制約は一切なく、完全な自由設計が可能で、どんな工法や仕様も選択することができます。

制約がないことの本質的な意味は、それぞれの家族のライフスタイルや土地の環境に合わせた設計を全くのゼロベースで考えることができ、 住まい手の生活スタイルや周辺環境にピッタリあった設計ができるということです。

でも、建築家との家づくりにはこうしたメリットもある一方で、ハウスメーカーや工務店の家づくりとは大きく違うところがあります。

ハウスメーカー・工務店との本質的違い

「建築家の家」と聞くと、ほとんどの方がまず「おしゃれな家」というイメージを頭に浮かべる思います。 でも、ハウスメーカーや工務店の住宅との根本的な違いは、「おしゃれな家」とは別の部分にあります。

工務店やハウスメーカーは設計と同時に施工(工事)も請け負いますが、価格に占める割合としては施工のほうが圧倒的に大きくなります。 つまり、設計と施工のどちらが「主」でどちらが「従」かといえば、程度の差こそあれ施工が主にならざるを得ません。

あらかじめ規格が決められているハウスメーカーの住宅はもちろんのこと、工務店における設計も、その工務店のいつもの材料、 得意な作り方に多かれ少なかれ左右されますので、純粋に設計を突き詰めることには限界があります。

一方、建築家は施工を請け負わない純粋な設計者として、規格や施工の都合と切り離して、設計図を描くことだけに専念することができます。

この違いは、本質的に大きな結果をもたらします。

それぞれのご家族のライフスタイルに合わせてゼロから設計した家は、そのご家族にとってこれ以上住みやすいものはなく、まさに「肌にしっくりとなじむ家」、 「かゆいところに手が届く家」と言うことができます。

建築家で建てると、休日も家にいることが多くなってすっかり出不精になった、という話をよく聞きます。

建築家との家づくりに向いている人は?

● 向いている人の特徴

【暮らし方にこだわりを持っている人】

「家の形に生活を合わせる」のではなく、自分たちが一番便利で快適と感じる居心地のいい家を希望されている人。

【家を買うのではなく、建てたい人】

ハウスメーカーや建築会社が企画した商品住宅を買うのではなく、家づくりのプロジェクトに一緒に参加して家づくりのプロセスをも楽しみたいと思う人。

【チェックされる側とチェックする側とをはっきりと分けたい人】

建築家住宅はひとつとして同じ家はないフルオーダー住宅のため、工事の監理がとても重要です。長い時間をかけてイメージ共有した家を実現するために、建て主に代わって工事をチェックする機能を希望する人。

【信頼して任せることができる人】

建築家住宅はモデルハウスも標準仕様もありません。建築家の頭の中には細部にまで完成形が見えていますが、一般の方にはイメージできない部分もでてきます。信頼できる建築家を見つけることができれば、あとはお任せしたほうが結果的にイメージどおりの家が実現できると言えます。

【建築家の設計力に魅力を感じる人】

建築家の設計監理料は決して安い金額ではありません。設計というソフトにお金を掛けるか、キッチンや浴室、仕上げ材などのハードにお金を掛けるかによって予算配分が変わり、結果、建物の骨格の考え方がずいぶん変わります。『私たちにとって居心地のいい暮らし方』を設計の骨格から考えたい人は建築家との家づくりが向いています。

● 向いていない人の特徴

【企業規模の安心感を得たい人】

住宅を設計監理する設計事務所はスタッフ10人以下が多く、年間棟数10棟前後の小規模な企業と言えます。会社規模はもちろんこと、住宅に使用する部材を工場で生産し効率よく建てるハウスメーカーと比べ、企業規模のメリットはありません。

【1年以内に家を完成させたい人】

建築家が決まってから完成までに、平均で14ヶ月かかります。建築家との家づくりにあわせて入居時期を変更できない場合は難しいといえます。

【間取りのイメージができあがっている人】

具体的な間取りをひたすら実現させたい人は建築家向きではありません。言葉では言い表せない本質的な日常の気持ちよさ、心地よさなどを形にするのが建築家の職能です。要望書に書いた言葉どおりではなくても、無駄を排除し予算の中で新たな間取りにすることで満足度の高い住宅になることが多々あります。

【打合せのコミュニケーションを億劫に感じる人】

『建築家の先生』としり込みして、聞きたいことや伝えたいこと、違和感を感じることをきちんと伝えられない人は向いていないかもしれません。ハウスメーカーのように、具体的な物をモデルハウスで確認して進めることができないため、違和感などが起こった際には、より言葉で伝えながらイメージ共有をする必要があります。打合せを進める中で建築家と向き合い、違和感があれば伝えていくコミュケーションが必要となります。