郊外での暮らし

2021.11.28

私自身、事務所のある千代田区から車でも電車でも約1時間のところで暮らしている。
実際に暮らしていて不便だと思ったことはなくもないが、それ以上に周辺環境に癒される部分が多いと実感している。自分自身が求めている価値観に、その場所があっていると言うことなんだと思う。

「暮らす」と言うのは「住まう」だけではなく、「働く」「遊ぶ」「学ぶ」など複合的なことです。密を避けるために都心への通勤を少なくし、テレワークを推奨したことで「郊外」への関心が増えたことは確かだと思う。

例えば郊外での暮らしのメリットと言えば、土地も広いことから空間にゆとりがある生活が出来たり、自然豊かな環境で子育てが出来たりもする。もちろんデメリットもあって通勤や通学に時間がかかったり、生活の多様性が少なかったり、利便性が乏しかったりはする。

これまで、住宅は住む場所、会社は働くところ、別荘は非日常を感じる場所と言ったように、役割が割とはっきりと分かれていたのが、最近はその役割が曖昧になってきている。

テレワークが一般的になってくると、長時間いることになる住まいの快適性が求められるし、家の中にずっといるわけだから外に見える景色や環境の豊かさなどの癒しも求められるようになる。

私たちは、設計を通して住宅という器をつくるだけではなく、ライフスタイルにあった空間の提案をしたいと思っているので、郊外とか都心にとらわれず、どのような環境においても、自然を感じることができ、特定の様式にとらわれない普遍性を持ったシンプルな建築をつくっていくことが大切だと考えている。

写真は今年茨城県つくば市に竣工した住宅。

事務所のある千代田区からちょうど車で1時間弱という距離で、まさに「郊外」型の住宅。クライアントは職場がつくば市にあり、仕事が忙しくなったのを機に通勤時間を短くしたいと言う考えから土地探しを開始し、そしてその場所に「住宅」「職場」(テレワークスペース_)「非日常を感じる空間」を求めた。

窓の外には緑豊かな自然と青い空、聞こえてくるのは小鳥のさえずりや風の音、そんな環境に職場があったらリラックスして仕事も捗りそうだ。今後はこのように場所にとらわれず、自分が住みたいと思う街に、暮らし、働き、遊ぶことが普通になってくるのだろうと感じている。