建築家が考える別荘がある暮らし

2021.12.02

今回は別荘のある暮らしというテーマを頂きましたので、私達の別荘のある軽井沢に来てご案内のための動画の撮影を兼ね、二人の経験を話し合いました。

久明)
南軽井沢の家は、私が両親のために設計した別荘でして、これまで多くの時間を過ごしたわけですが、強く実感することは、やはり都会からここに来ると全く日常から離れて、自然に浸ることができ、本当にリラックスできるということです。それはかけがえのないことであり、まずそれが第一だと思います。
もう一つは、 この家を大変気に入ってくださる友人の方々もたくさんおられるのですが、ここで集まって話をしたり、また泊りがけで来てくださったりして、普段のお付き合いでは得られないような濃密な時間を共有するなかで、心通わせる事ができることがとても貴重な事だと思いますね。直子さんどうですか?

撮影:川辺明伸

直子)
本当にそうね。
私もお父様たちとこの家で一緒の時間を共有し、そして受け継ぎながら、 ここの存在が私たちの生活にとって本当に時間を重ねるごとに、とても重要な家であることを強く感じるようになりました。
私がこの別荘に来る様になって、20年が経ちましたが、その時々によって別荘の使い方も変化してきたわね。矢板の両親と私の父を順番にここで介護をしながら、 この家が本当に父たちの癒しの空間になったし、それが私たちにとっても大事な思い出になっていますね。歩けなくなったお父様がここで夏を過ごすと歩ける様にもなったわよね。

久明)主治医の先生もビックリしていたね。

直子)
本当に今から思い返すと、充実した幸せな時間でした。
介護が終わってからは、私たちの大切な友人たちと、ここで一緒に過す時が、かけがえのない時間だと思いますし、都会とは全く時間の流れが違って、心からリフレッシュして解放されるように感じるわ。 時代を超えながらこの空間が私たちに豊かな経験をもたらしてくれているんだなっていうことを私はつくづく思っているところです。

久明)
そうですね。 よく軽井沢は「屋根のない病院」っていう言葉を聞きますよね。それに加え、この家は朝、日が昇ってから沈むまで日の移ろいが全部わかるからね。高原の空気をこの空間で味わいながら、その時の刻みをはっきりと感じながら過ごすことができるわけで、そんなことがとても親たちの癒しになったのではないかな。

直子)
最後にもう一つ、コロナの時代を経験し、web会議が一般化したおかげで、私たちもここで仕事をする機会が増えましたね。自然に囲まれながら仕事をすると集中できて、設計のイメージも膨らみます。
日常の幅を広げ、別荘で仕事をする方も増え、別荘の役割がますます広がったと感じています。