「あたりまえの良さ」を再認識する宿泊施設

2022.12.26

2019年3月に沖縄で宿泊施設の設計に携わる事となり、2棟の宿泊施設と1棟の別荘が完成しました。現在も3棟の宿泊施設を設計しており沖縄に通い続けています。インバウンド需要を見込み沖縄ではコロナ前から多くの宿泊施設が計画され多くの施設が完成しています。地域によっては需要を超える供給量が作られた影響やコロナ禍による旅行客の減少により苦戦を強いられている施設もありますが、我々が設計に携わった施設は好調な稼働率を維持しているようです。

宿泊施設の設計に携わるようになり、リサーチで多くの沖縄のリゾートホテルに宿泊しました。趣向を凝らした建築、インテリア、アクティビティを提供していますが、どこか海外の流れを組むようなリゾートホテルが多いように感じます。沖縄に通い続けるほどに、沖縄の魅力とは何か?日本人だけでなく外国人にとって魅力的に感じるには?と考えることが多くなりました。

瀬底島で設計した建物は1棟貸しの宿泊施設です。瀬底島はサンセットが美しいビーチなど自然も多く残された島です。島の西側は大規模資本による大型ホテルが建設されており、施設が有するアクティビティでは勝負にならない状況でした。

そこで「リゾートホテルが多い恩納村ではなく沖縄北部の瀬底島まで来るのか?」という事を何度も考えました。そこで出た答えが「宿泊者に最高の目覚めを提供する」という事でした。アクティビティで魅力を提供するのではなく、その土地を訪れその土地を体感し過ごす事が最大の魅力と考えたからです。今回の敷地が東向きであったので、ベッドルームは海を眺めつつ朝日で起きられるように設計しています。複雑な色合いを見せる海と空を眺める・・・ちょっと朝早くに起きる必要がありますが、都会では決して堪能できない魅力があります。

コロナ禍は多くの困難を生み出しましたが、このような「あたりまえの良さ」を再認識する機会にもなりました。東シナ海から流れ込む雲、東から上がる太陽、沖縄本島の地形、どれ1つを取っても現地では当たり前の物ですが、沖縄以外の土地には決して無いものです。

宿泊施設は建物・内装・サービスにより「非日常」を演出しがちですが、現在設計している建物では、その土地にあるものを活かし宿泊施設に到着するまでに感じていた空気感や余韻がどこか連続するような「ここにしかないホテル」を目指しています。そのような日常と連続するような施設が今後の沖縄にとって大切なのでは?と考えています。