神奈川県鎌倉市S邸

2015.09.25掲載

S様(神奈川県鎌倉市)

新築

もともと一戸建て志向の強かったSさんご夫婦。奥様の憧れだった鎌倉の地で「買うのではなく住みたい家を建てよう!」という思いから、2003年3月ザ・ハウスに来店されました。

家づくりをスタートした時は、まだご結婚前だったお二人。夢と希望とこだわりに満ちていた思いを、建築家・加藤将己さんが形にまとめていきました。光の使い方を意識したり、アイデアの詰まった棚を作成したり・・・。そんな思いを凝縮した住宅は2004年8月に完成しました。
手間を掛けた分、愛着や愛情も込められ、これ程楽しかったことはないと、家づくりを振り返られたSさんにお話を伺いました。

家を建てようと思った経緯は?

そもそも私達は、マンションではなく一戸建てをという意識が高く妻の憧れの地である鎌倉で家を探し始めたのがきっかけです。

仕事場が横浜なので通勤に便利な沿線で鎌倉を中心に、最初は建売住宅の情報を集めていました。しかし、鎌倉駅周辺の建売事情はあまり良くない上に物件の数が少なく、希望の場所でなかったり画一的な建物であったりと、建売自体では満足のいく物件に巡り会えませんでした。また資料を集めれば集めるほど、欠陥住宅・画一的なデザイン・個人的な要望への対応度などの建売への不信不満が高まりました。
この頃から家を買うという考え方から、手間と時間を覚悟しても住みたい家を建てよう!という気持ちにどんどん変わっていきました。

当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?

初めは建売でもいいと思っていたものですから、いざ土地を買うぞと心に決めてみたものの、その後どうするの?という心情はありました。

土地を探すのにも時間が掛かるので並行して「その後」のための情報集めに奔走しました。住宅展示場、不動産屋に紹介して貰った地元の工務店、情報通の知人から紹介して貰った建築家、インターネット、本etc. 十分な情報を集める前にあまり深く関わってしまうと断り切れなくなるので、浅く・広く話を聞くように心掛けました。

情報が集まれば集まるほど、建築家にお願いしようという気持ちは自然に固まっていきました。

建築家・加藤将己さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?

ザ・ハウスに訪ねてから加藤さんを初めて知ったのですが、作品例を見せていただいて光の使い方に驚嘆し、お願いすることにしました。
加藤さんの顔写真を拝見した時、その芸術家然とした雰囲気にちょっとたじろぎましたが、お一人で仕事の全てをこなされていると伺い、アシスタントを挟まず、直接腹を割ってお話が出来るという事がお願いしようと思った大きな決め手でした。
私達の希望に関しては、加藤さんも大分困惑なさったかと思います。

まず、家の表情とでも表現すればいいでしょうか。
昼間は自然光の爽やかで明るい雰囲気。夜は照明を駆使した落ち着いたしっとりとした雰囲気。ここにこだわりの全てを注いだと言っても過言ではないですね。もっともっと!と要求したおかげで、未だに照明のスイッチの多さに戸惑う事もあります。

他に
・花火を見たいとの思いから苦心いただいた屋上   通称「月見台」
・海水魚の水槽と照明を組入れた棚         「気まま棚A」
・AV機器やメディアをすっきりと納めていただいた棚 「気まま棚B」
・吹き抜けのガラスブロックに面した光るカウンター
まさに趣味の固まり。
見所は、数え上げたらキリがないです。

要望通り希望を叶えていただいた所、全く別の発想をご提案していただいた所、諸事情により諦めた所・・・いろいろありますが、改めて最初に提出した要望書を見返してみると、加藤さんは誠実にその一つ一つを解決し、大きな部分で要望を実現してくれている事が分かります。流石だと思いました。

実際に生活していかがでしょうか?

ちょっと生活感が無いのですが、明るくすっきりしたとても暮らしやすい家だと思います。

良い処は山程ありますが、あえて悪い処を挙げるのであれば1階の照明器具が多いので、その熱で2階が暑いです(冬は暖房要らずかも!)。また石とガラスの家なので、食器の扱いなどは腫れ物に触るような想いです。これからの来客予定も多く、妻が悲鳴を上げております。

加藤さんの名誉のために言いますと、これらは皆、覚悟した上での私の決断ですので。

ザ・ハウスを利用しての感想は?

あらゆることがそうですが、人は人との出会いの中で生きていて、その出会い一つで幸せにも不幸にもなると思います。建築家と家を建てるという作業も、始まってしまってから途中で契約を解除する事は、相当な勇気と決断力が必要になります。そうならない為にも幸せな出会いを求めて皆さん情報を掻き集めているのですが・・・。
昔に比べればインターネットや専門雑誌の恩恵で情報は集めやすくなりましたが、当然の事ながら良いことしか書いていないし、公平な目で見た客観的な比較となると、なかなか難しい処が多いですよね。

ザ・ハウスでは建築家の良い面を強調して伝えるばかりではなく、仕事の上での得意分野について、また同じようにネガティブな処も同じ基準で情報を提供して貰える。そこが最大のメリットだったと思います。始まってから「こんな筈では」は、ほとんど無かったのではないでしょうか。

ちなみに私がこだわった処は、小さな事務所で建築家の方と全て直接細かな話が出来るかどうかです。こんなことは、情報誌やネットには載っていないですよね。「こんな筈では」を最小限に食い止める為にも、幸せな出会いを今後もコーディネートしていただきたいと思います。

これから建築家と家を建てる方に一言

建築家を決める前に、自分自身の中であれもこれもと夢が膨らむことでしょう。素人考えで膨らんだ夢は、土地の制限、予算、構造等で砕かれることも少なくありません。まぁ、ここの夢が膨らむところが一番楽しいのですけどね。

打合せを重ねていくうちに感じたのですが、絶対に譲れない処、形を変えて妥協する処、はなから諦める処等、自分達の中での優先順位をはっきりと決めておいたほうがいいと思います。勿論、言いたい事はなるべく伝えましょう!建築家の方にある程度お任せしておけば、色々と配慮いただけますが、自分達が勉強することも大事です。
あとは、なんと言っても時間的な余裕を持つことです。
私も決して余裕があった訳ではなく、関係者の方々に無理をお願いした処が多々あります。全体的な計画だけでなく、引渡しから引越しまでも余裕がある方が楽です。引渡し時にどうしても直しが出ますので、引っ越してしまうと荷物が埃だらけになります。

一から家を建てるという事は、時間も、労力も、人との出会いも(勿論お金も)、多くの手間が掛かります。
ただ、一生住まう家として自分達の快適な生活・こだわり・愛着・愛情と、手間を掛けた分だけその家に込められていると思えば、これほど楽しかった事はありませんでした。五里霧中だった頃は漠然としか考えられなかったのですが、実際に家が建つと建築家の方にお願いして本当に良かったと思います。せっかく家を建てるのであれば、一人でも多くの方にこの楽しみを経験していただきたいですネ。

はじめにSさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?

お会いした時のお二人はまだご結婚前、その年の9月が挙式のご予定で住まいづくりを先行されたご計画でした。住まいづくりの夢と、こだわりムンムンの明るいカップルでした。

具体的にはどのような形でご要望に応えていったのですか?

お二人のご希望は、キッチンが家の中心にあり、家族が見渡せ、吹き抜けがあり、開放的で明るい空間、デッキの張り出した友達を呼びたくなる様な家という事でした。木造ですが、屋上が欲しいとの要望。鎌倉の街づくりの協定より、8メートルの高さ制限との「せめぎ合い」をしながらの天井高の確保、天井ふところの工夫がポイントとなりました。

条件の許す範囲で、安全で快適なオール電化の住まいをお勧めしていますので、IHクッキングヒーターのお料理体験もしていただき、ご納得していただいた上での採用となりました。IHクッキングヒーターの採用により、料理の飛び散りが少ないこと換気回数も少なくて済むなどという利点から、キッチンを中心に配置するプランにし、扇状の敷地に沿わせて開いた、ガラスブロックの光のヒンジを持つ平面としていきました。

色々な光を楽しむ工夫もしました。9つの小さな窓からの光、ルーバー越しのスリット状の光、丸いシリンダー状の光と、時間や季節により移り変わる様を、日々居ながらにして楽しめるようにしました。自然の光の他にも、夜の寛ぎの時間を楽しめる光として、暗くなると蛍のように、トップの結晶化ガラスにセットされた発光ダイオードの照明の光が洩れます。ここでのワインのひとときが何よりの至福の時間となるでしょうね。演出の為に、なるべく厚みがでない仕様にしたカウンターや、同じ様に棚の厚みを感じさせない、通称「気まま棚」は、オーディオビジュアルや海水魚とワインを楽しむ時間をより豊かにしてくれます。

アルミ・石・ガラス・木・バンブーのテクスチャーと響き、透過性の素材と光の移ろいを楽しむ事ができる住宅になりました。

Sさんとのお打合せはいかがでしたか?

住まいづくりにあたって、「住まいの計画リスト」という私からお尋ねしたい事に回答していただいています。家に関する事以外にも、好きな色から食べ物、嫌いなこと等々・・・その方のひととなりを忌憚無く書いていただくのです。それらをイメージしながら、私なりの提案を複数案提示して「ああでもない、こうでもない」と話し合いを進めていきます。

お二人とは、いつも内容の濃い打合せを続けました。
オーディオビジュアル、海水魚の楽しめるカウンターでワインが嗜める住まい。その他、多岐に渡り要望事項多数ありましたが、これからの住まい方を良くお話し合いになり、考えておられましたね。

これから建築家と家を建てる方に一言

せっかくの住まいづくりです。
ゆっくり、そしてじっくりと一緒に住まいづくりを堪能し、あなただけの住まいを、夢とこだわりの最小公倍数を形にしてください。

本体価格

総工事費(税別)から、それぞれの敷地や建主の事情によって変動する解体工事、仮設工事、杭・地盤改良工事、引込工事、外構工事、冷暖房・空調工事、 その他建物本体に固定されていないものの工事を除いた金額。実際にかかる費用よりも坪当たり10~30万円ほど安く見積もられます。

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