奈良県高市郡M邸
A様(奈良県高市郡)
新しいご家族が増えたのを機に「父ちゃんの大事業」を決心されたMさんは、ご自身での建築家探しの長いプロセスを経て、2002年10月にザ・ハウスに来店されました。
隣に建つお母様の家への配慮をしつつ、建築家・猪股浩二・原 朱美さんによって設計された、素材にこだわりぬいた住宅は、2003年12月に完成しました。
この家のテーマは「普通じゃない普通」だとおっしゃるMさんにお話を伺います。
家を建てようと思った経緯は?
理由は2つありました。
1つ目は以前住んでいた家が、私が小学校5年生の時に建てたもので、築35年と老朽化したこと。
2つ目は(今は幼稚園の年長組になりますが)待望の男子誕生が大きなきっかけになりました。
高校2年・女子、中学2年・女子に続く男子誕生で、彼の将来は未知数ですが、この地でこの家と共に成長してくれることを願い、また、「父ちゃんの大事業」を記憶の何処かにでも刻みこめればと新築に踏み切りました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
当初は建築家に依頼するなんて全く考えてもいませんでした。
ただ、「普通じゃない普通」をテーマにしておりましたので、結果としては建築家との二人三脚でしか成しえなかったと思います。それと、建設業界の方には誠に申し訳ない発言ですが、「だまされる」「ごまかし」という事について注意したいとの危機管理も働いたような気がします。
建築家・猪股浩二+原 朱美さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?
新築家屋の裏には離れ家があって母が住んでおりますので、既設家屋への採光を確保すること。
旧家では収納スペースが非常に乏しく分散していたので、それらの問題を解消できるようにお願いしました。
またリビングを中心にした間取りをお願いしました。子供部屋にテレビを設置しないことも告げてあり、リビングを通らないと玄関に行けない、風呂にも行けない・・・常に家族が顔を合わせられる工夫です。
何せ「父ちゃんの大事業」なもんですから、50年、100年耐え得る家をリクエストしました。
実際に生活していかがでしょうか?
平成15年12月21日に引渡しを受けて僅か4ヶ月ですが、”非常に満足”しております。
採光、収納、間取り、動線、堅牢さ、どれを取って見ても思惑通りの家に仕上がっております。
また、吉野杉をふんだんに使ってますので、何年何十年経た時の寂び具合、仏間の天井に猪股さんと一緒に貼った吉野和紙の色合いの変化など、先々も楽しめるのではないかと思っています。
規格通りの工業製品ではない、建築家と一緒に考えて建てた世界に一軒しかない我が家です。
天命をまっとうする時に、「この家を建てて良かった」って言える様な付き合い方をして行きたいです。
猪股さん感謝感謝です!!
ザ・ハウスを利用しての感想は?
建築家と一緒に家を建てようと決めてから、ネットで設計事務所を探して某事務所にたどり着き第一プランまで進みましたが、フィーリングが合わず没になりました。
その後、ザ・ハウスにたどり着くことになるのですが、最初の事務所に行くまでのプロセスが本当に大変だっただけに、ザ・ハウスの存在は助かりました。
それに、厳選された建築家だから安心できましたし、過去の実績写真を基に建築家の作風が理解できたり、建築家の性格的なデータまで持っておられるので、自分の計画や思いに対して的確にアドバイスしてもらえました。
確か雑誌の広告で知ったのですが、もし広告を見なかったら今ごろは・・・と思うとゾッとします。
これから建築家と家を建てる方に一言
やはり相性でしょうかね。施工前の打合せ、色々な書類提出、着工した後も日々起こる!?数々の問題と解決etc・・・ 建築家との付き合いは結構長期間にわたります。
自分が剛、建築家が剛ならきっと何処かでブツカルでしょうし、柔と柔ならどうでしょうか想像して見てください。
自分は建築家に対して色々な提案を期待する、自分の理想像に近づけることに力を貸して欲しい、期待することは様々かと思います。それにより建築家を選択することが重要かと思います。
私と猪股さんは、剛と柔の組み合わせだったかな?時には「却下!」との厳しい指摘もありましたが、基本的には私のわがままを気持ちよく受け入れてくれました。上手く運んだ例なのではと思います(猪股さん、間違ってたら御免)
ザ・ハウスは、そんなベストカップルを作ってくれる処なんじゃないかな。
はじめにMさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?
御主人のMさんはとてもご家族想いの方で、まさに大黒柱という印象でした。 お母様の母屋を残しての計画の為、特に母屋の日当りを気にされていました。 またお母様からのご要望もあり、次の3つの条件を基に我々がプレゼンテーションを行うことになりました。
1.母屋の日当りを確保すること
2.屋根に瓦を使うこと
3.本間で設計すること(注)
後は、まさに自由に提案して欲しいとのことで、我々にとっては、初の瓦屋根・本間設計となり、とても面白い仕事になる予感はありました。
(注)本間とは・・・和室の寸法に関する名称。京間(本間)は近畿・中国地方で使われてきたもので、柱割りの場合、畳の大きさを6.3尺×3.15尺(191×95.5cm)とするものを一般的にいう。
具体的にはどのようにご要望に応えていったのですか?
母屋の日照を考えると片流れの瓦屋根が一番良いと判断しました。また母屋との渡り廊下部分には、お母様も使われる水廻りを配置し、中庭を取り囲む様な計画としました。プレゼンテーションでは図面と模型を見て、とても気に入って頂いたかと思います。今では、以前よりも日当りが良くなったと、お母様も喜んでいらっしゃるようです。
また、工事はお母様の御友人の紹介で、吉野銘木製造販売株式会社さんにお願いしました。
構造材から床材・造作材・外壁材に至るまで、杉の赤身にこだわり、とてもすばらしい材料を提供して頂きました。
現場監督・鶴谷さんの、吉野杉に対する愛情と信念の現れではないでしょうか。
木工事は吉銘さんの紹介で、京都の宮大工の(有)匠弘堂さんにして頂きました。宮大工の方々の木を扱う姿勢と、その技量にはとても感心させられました。
人と人との繋がりで、とてもすばらしい家が出来たのではないでしょうか。
Mさんとのお打ち合わせはいかがでしたか?
Mさんは、とても意見のはっきりしている方で、我々の提案や質問に対してすぐに返事をしてくださいました(まさに竹を割ったような性格)仕事柄出張が多いようですがメールでの細かいやり取りと、仮住まいが現場の近くの為に出張以外の日は毎日現場を見て下さった様です。その分、Mさんと大工さんの信頼関係もしっかり築くことができ、現場もスムーズに進んだのだと思います。
これから建築家と家を建てる方に一言
今回の場合、家づくりの過程も含めて共に楽しめたと思います。お子さんも連れて吉野の山に入り、ヘリコプターで原木を搬出する様子を見学したり、和室の天井に貼る和紙を吉野で一緒に探し、Mさんとスタッフとで貼りました。大工さんの現寸図や、構造材の手加工(刻み)の様子も見て頂けました。
ご自分も参加されることで、沢山の人の関わりによって一つの家が出来上がっていく姿を解って頂けたかと思います。
またこうする事で、より一層家に対する愛情が湧いてくるのではないでしょうか。
データ
- 建設地
- 奈良県高市郡
- 竣工日
- 2003年12月
- 設計
- 猪股浩二+原朱美
- 施工会社
- 吉野銘木製造販売(株)
- 構造
- 木造
- 敷地面積
- 427.83平米(129.4坪)
- 生活スタイル
- 単世帯住宅
- 撮影
- 福沢昭嘉
- 種類
- 新築
本体価格
総工事費(税別)から、それぞれの敷地や建主の事情によって変動する解体工事、仮設工事、杭・地盤改良工事、引込工事、外構工事、冷暖房・空調工事、 その他建物本体に固定されていないものの工事を除いた金額。実際にかかる費用よりも坪当たり10~30万円ほど安く見積もられます。
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