3軒目の終の棲家
M様(千葉県勝浦市)
セカンドライフを温暖な気候の中でゆっくりと過ごしたい。そんな夢を叶える終の棲家を「建築家と建てたい」と考えたMさん。作風、感性、家づくりに真摯に向き合う姿勢を感じ、建築家・黒木実さんと家づくりをスタートしました。これで3軒目となる家の満足度は「100点」とおっしゃるMさんに、家づくりの秘訣について伺いました。
家を建てようと思った経緯は?
齢六十を過ぎ、仕事も一応の目途が立った頃、ゆっくりと第二の人生を過ごしたいと思い始めたのが今から2年前のことでした。
30年来親しんでいるトライスロンやゴルフができる環境を探して方々に出向いておりましたが、若い頃に合宿した房総の温暖な気候を思い出し、千葉県勝浦の地を終の棲家にすることにしました。
しばらくは東京と勝浦を往復する生活を考えていたので、3階建ての東京の暮らしとは異なる住環境にしたいという思いがありました。平屋のゆったりしたリビングで寛ぎながら、ゴルフやオリンピックを臨場感溢れる大画面で楽しめたら…などのイメージを持っていました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
30数年前の結婚以来、それまでに2軒の家を建てたことがありました。1軒目は中堅建築メーカーの建売住宅、2軒目は大手ハウスメーカー(2×4)の注文住宅。
前者は建売ですからこちらの意向をはさむ余地はないですし、後者についても制約の中でリクエストを叶える家づくりでしたので、2軒ともまったくゼロベースで考えたマイホームにはなりえませんでした。その轍を踏みたくなかったので、3軒目となる次は建築家との家づくりを希望しました。
建築家・黒木 実さんにはどんなご希望を伝えたのですか?
ザ・ハウスさんの事務所でお会いして、その日の夜に「お願いしたい」旨を直接電話で伝えました。
何人かの建築家と面談しましたが、黒木さんが最も感性があったという印象です。これは私よりむしろ妻が強く抱いたという記憶があります。
そのような出会いだったので、黒木さんを全面的に信頼し、設計主旨に口をはさむことはしませんでした。素人が部分的にいいと思ったこと、例えばパーツとか色とか素材とかに口出しをしても全体的なバランスを欠くことになりかねませんので、場当たり的なリクエストはしませんでした。「部分最適の総和は全体最適ならず」です。
実際に生活していかがでしょうか?
当初は平屋建てをイメージしていたのですが、眺望を考慮してロフトを設けたので結果的には2階建てになりました。しかし生活空間は1階のみですので、動線が非常にシンプルで生活しやすいです。
特筆すべきは、躯体や内装などすべてが手作りの一品ものなので、非常に暖かみがあることです。1軒目、2軒目の工場生産の規格住宅では得られなかった、私たちが一番暮らしやすい形、施主(設計者)の意向が随所に反映されている点を住み始めてから改めて実感しています。
住み始めてまだ1年あまりですが、壁や床の木材の変化などのジワ~とした感触に思いが募ります。毎日住んでいると変化に気付きずらいかもしれませんが、私の場合、月に10日ほどの滞在なのでその感がより強いのかもしれません。
一方で、手作りであるがゆえの幾ばくかのバグにも遭遇しています。洗面室へのドアの開閉がガタついたり、パテにひび割れが出たり、工業規格品ではないがゆえの状況もしっかりと受け止めています。しかし、竣工後も黒木さんや担当していただいたスタッフの方が施主の意向を汲んで工務店に修繕してもらっているので、顧客満足度はほぼ100点に近いです。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
2年前の9月に初めてザ・ハウスにお邪魔して、2日間に渡り黒木さんを含む4名の建築家と面談しました。
各建築家との面談の前に事前に作品集を見せていただいていたので、ある程度、各人の趣向はつかめておりました。その上で面談に臨むわけですが、細部にこだわらず、あくまで相性を見極めるようアドバイスをもらいました。実際に、担当スタッフの方は一言も口を挟むことなく双方の話に耳を傾けてくれました。
ザ・ハウスさんの役割はいいめぐりあわせをプロデュースすることですが、私の場合はこの邂逅はベストであったと思っております。
私のようなケースはラッキーだったと思いますが、もし建築家とのトラブルがあった時はなんでも相談してくださいとの示唆もいただいておりました。
これから建築家と家を建てる方に一言
ザ・ハウスさんの建築家を選ぶプロセスはとてもいいと思います。
1.沢山の建築家の作品集を見て数人に絞り込む
2.それぞれの建築家と面談し、施主との相性を判断する
3.判断に迷った時にはその中の2組くらいの建築家に可能な範囲でイメージスケッチを描いてもらい、その中から一人に絞り込む
これらのプロセスのうち、2を判断する際には、話が合うとかやさしそうだとかの基準で決めると大変なことになるので、あくまでも家づくりというプロジェクトを共にするパートナーとしての相性を見てください。例えば、約束を守る、言ったことは忘れないという基本をしっかりと遵守できるかは大事な判断要素です。私のケースは100%オンスケジュールで進み、約束事の反故もほぼありませんでした。
また、イメージスケッチを描いてもらった場合は、そのイメージがこちらに合うかどうかに注目するだけでなく、どのくらい真剣に描いたかを読み解いてください。今後プロジェクトを進める上で、我が家の計画に真摯に取り組む姿勢がどれくらいあるのかは重要なポイントです。
そして一旦決めたら、あとはその建築家に任せましょう。ごちゃごちゃ言わず、信頼してプロジェクトを進めることを勧めます。
データ
- 建設地
- 千葉県勝浦市
- 竣工日
- 2016年10月
- 設計
- 黒木 実
- 施工会社
- 有限会社加藤工務店
- 構造
- 木造
- 敷地面積
- 501.26平米(151.6坪)
- 施工床面積
- 192.73平米(58.3坪)
- 生活スタイル
- 単世帯住宅
- 本体価格
- 4,080万円(坪単価/70万円)
- 種類
- 新築
本体価格
総工事費(税別)から、それぞれの敷地や建主の事情によって変動する解体工事、仮設工事、杭・地盤改良工事、引込工事、外構工事、冷暖房・空調工事、 その他建物本体に固定されていないものの工事を除いた金額。実際にかかる費用よりも坪当たり10~30万円ほど安く見積もられます。
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