東京都足立区T邸

2015.09.25掲載

T様(東京都足立区)

新築

築30年の家にお住まいだったTさんは、家のあちこちに不都合を感じるようになり建替えを検討され、2002年12月ザ・ハウスに来店されました。Tさんがご自身の家づくりにあたり「建築家」に対して何を期待されているのかを理解したという建築家・内海智行さん。そのTさんの期待通り、個々の考えを調整し家族が合意できるようなプロセスを辿りながら、少しずつ形へと変えていきました。限られたスペースの中に家族の要望を納めたそのお住まいは、2004年7月に完成。
以前の家と比べ快適になったことを日々感じておられるというTさんにお話を伺いました。

家を建てようと思った経緯は?

私が住んでいた家は中古で購入したのですが、築30年弱経っていたこともあり、1階の床で弛んでいるところが何ヶ所もありました。狭い敷地に工夫して建てた注文住宅だったようなのですが、廊下が異常に狭いことの他にも、浴室の脱衣場所がない、洗濯機置場が屋外、キッチンがとても狭い、両親の寝室が狭く手足を伸ばして眠れないなど、不都合な点がいろいろとありました。

家は借地に建っていたのですが、ローン金利も安い今のうちに建替えたいと思っていました。ちょうどそんな頃に、その土地を買うことが出来たのです。
住宅ローン減税のタイミングもあり、早速具体的に考えてみようということになりました。

当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?

建替えを具体的に考える前から、建築家に依頼したいと思っていました。
敷地が20坪と限られており、また隣の家がかなり接近していたので、建築家にお願いすることによって少しでも広く感じられる家が出来るのではないかという期待があったのです。
もう一つ、私が楽器を演奏するため防音室が欲しいということもありました。

設計監理費用は掛かりますが、1回きりの家づくりなので、必要なものにはお金をかけても良いと考えていました。

建築家・内海智行さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?

ザ・ハウスで内海さんの作品を拝見して、白を基調としスッキリとしたデザインの家が多かったので良いなと思い、お願いすることにしました。

最初の段階の打ち合わせで、以前の家の不便な点と、新しい家への要望を書き出してお渡ししました。
全体的には、ゆとり・広さを感じられ、プライバシーを保ちつつ明るく開放感のある家にしたいとお伝えしました。その後の打合せでいくつかのパターンを提案していただき、そこから時間を掛けて一つに絞っていきました。
スキップフロアの案に決めたのですが、内海さんが平面図をイラスト的なわかりやすい絵で描いてくれて、イメージが掴み易かったです。早く家を建てたくなりました。

実際に生活していかがでしょうか?

快適に生活しています。

キッチンやダイニングは、天井高を確保したので余裕のある気持ちのよい空間になりました。また、当初3階に作りたいと思っていた防音室を、打合せを繰り返し、スキップフロアの1番下の半地下にすることにしました。そこがなかなか落ち着けるいい部屋になったのです。

階段は折れ曲がり式なのですが、3階の大きな窓から日が入り開放的な雰囲気です。特に冬は時間を追うごとに日が当たるところが変わり、その変化を楽しんでいます。半階分上がると部屋があるというこの計画は、階段の上り下りの負担が気分的に少ないように感じています。

夏は3階についてはさすがに暑いのですが、中2階で冷房をつけていれば1階と半地下は冷房をつけなくても十分涼しいです。また、冬の晴れの日の3階は日が当たってとても暖かいです。
エアコンや冷蔵庫などを新しくしたのもありますが、家の性能も良いようで、床面積が増えたのに毎月の光熱水費は安くなりました。

それから、これは設計の関係と工務店さんがきっちり施工してくれたからだと思いますが、秋の台風と昨今起こった地震の時に、以前の家より揺れが少なくがっしり出来ている印象を受けました。(実際、基礎など十分にがっしり作って貰っています)

一つ、自分が想像出来ていなかったのが、フロアを開放的にした分、音が上から下までよく通るという事です。テレビや話し声などの音がちょっと聞こえ過ぎるなあということを住んでから感じました。

しかし改めて考えてみると、最初に伝えた要望がきちんと実現されており、さすがだと感じました。

ザ・ハウスを利用しての感想は?

建築家にお願いすることに決めたとしても、どんな方にお願いすれば良いのか分からず、また雑誌などで見て気に入った方がいてもなかなかお願いするまでには至りません。ザ・ハウスは質にこだわった建築家を登録していて、その方達についての特徴や得意としていることを説明してくれ、またアドバイスもしてくれます。そして実際に建築家と会わせていただけるので、本当に助かりました。

ザ・ハウスにお願いする前にもホームページで「実現度チェック」などいろいろと参考にさせていただきました。

これから建築家と家を建てる方に一言

日頃仕事をしながら家のことについて打合せをしたり、インターネットで調べ物をしたり、家づくりを進めていくことはなかなか大変なことです。でも皆さんも同じだと思いますが、一回きりのことなので細かいことでも出来るだけ建築家の方に話して解決するようにしていくのがいいと思います。また、上棟が済んでからも現場では自分の想定と違うことがたまにありますので、できるだけ現場には足を運んだ方が良いと思います。

日頃よりも家族と話す機会も増えますし、健康に気をつけて家づくりを楽しんでください。

はじめにTさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?

個性的なご家族で一人一人がきっちりとしたご要望を持っている・・・  そんな印象を受けました。

初めは設計としての価値を創出できるか確信が持てず、むしろザ・ハウスに信頼できる工務店を紹介していただいて、設計施工でお建てになった方がよいのでは・・・とお返事しました。

しかし「自分達の住まいの形を導くにあたって、様々な説明を介しながら一歩ずつ納得して進めたい。その為に建築家という進行役を必要としている」ということが理解出来ましたので、設計をお受けする事にしました。
つまり結果もさることながら、むしろプロセスに私達の存在価値を見いだして頂いた感じがします。

具体的にはどのような形でご要望に応えていったのですか?

計画は制約が多く、敷地にも余裕があるわけではありませんでした。
そんな中で防音室や縫製室といった特殊な機能を有しており、さらには周辺環境や日照も決して好条件とは言えませんでした。
長年住まわれたお住まいの問題点が、どのような状況から段階的に生じてきたのかを詳しく伺いながら、この場所で何が可能かの選択肢を提示し、個々の考えを調整してみんなが合意出来るようなプロセスを辿りました。

Tさんとのお打合せはいかがでしたか?

スキップしたフロア構成なので平面図では誤解を与えてしまいがちです。その為ほとんど打合せをスケッチと模型で進めました。
個性的なお母様が、ご自分の要望を絵に描いて持ってこられた事を強く記憶しています。すごくチャーミングな絵で、そこに描かれた人物(ご自分)がかわいい(笑)。だからこちらも絵を描くことでしっかりとコミュニケーション出来ると確信しました。
お父様は施工業者との信頼関係を重視して、複数業者の中で結果的に提示金額の高い工務店をお選びになりました。

ご自分の考えをしっかり持っているご家族は、たとえそれぞれの意見が異なっても必ず良い方向に進んでいくものだと改めて実感しました。

これから建築家と家を建てる方に一言

住宅は個人の様々な思いが反映される器。でもそこは設計者が容易に立ち入れないからこそ、気軽に話が出来る関係が大事だと思います。

本体価格

総工事費(税別)から、それぞれの敷地や建主の事情によって変動する解体工事、仮設工事、杭・地盤改良工事、引込工事、外構工事、冷暖房・空調工事、 その他建物本体に固定されていないものの工事を除いた金額。実際にかかる費用よりも坪当たり10~30万円ほど安く見積もられます。

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