美しさを最優先した空間
H様(東京都目黒区)
ご夫婦二人と愛犬のための、シンプルで「美しい空間」を持つ住まいを建てるために、Hさんは2002年7月ザ・ハウスに来店。
明確なイメージをお持ちだったHさんは、理想を形に変える舵取りを建築家・椎名英三さんに託します。イメージを深く理解された椎名さんは、Hさんたちが道に迷うことのないよう導いていき、2005年2月「思い描いていたとおりの住まい」を完成。
「自分たちにとっての気持ちのよい空間とは、この家のことです」とおっしゃるHさんにお話を伺いました。
家を建てようと思った経緯は?
娘たちもそれぞれに独立し、家には私たち夫婦と老犬だけとなってしまったので、それまでの住まいでは大き過ぎることもあり、すっきりと住まうために新しく家を建てることにしました。
当初から建築家に依頼しようとお考えだったのですか?
私たちが、この新しい家を建てるにあたり求めたことは、「美しい空間に住みたい」ということでした。
「空間」としての捉え方に優れているのは、建築家であると思っていましたので、当初から依頼先は建築家と決めていました。
雑誌など見ていたときに、気になる建築家がいたのですが、既にその方は他界されておりました。そんな時にザ・ハウスを知り、訪ねてみようということになったのです。
建築家・椎名英三さんにはどんなご希望をお伝えされたのですか?
今回新しく購入した土地は、道路に面している部分が2mほどで、それ以外はぐるりと周辺を囲まれている状況でした。
これをぜひ設計でカバーして欲しいということと、植物が大好きなので、たくさんの緑と生活を共にできるようにとお願いしました。
そして、何よりも気持ちのよい「美しい空間」が欲しいということを強くお伝えしました。
実際に生活していかがでしょうか?
とても、いいですよ。
私たちの望んでいたとおりの空間をつくっていただき、とても気持ちよく生活しております。
でもこれは、一般的に表現する「いい」とは、ちょっと違っているかもしれません。
私たちは生活の中での使い勝手の良さや快適さではなく、「空間の美しさ」を最優先しましたので、「私たちにとって、とてもいい」ということになります。
ザ・ハウスを利用しての感想は?
選りすぐった建築家の作品集を一度にたくさん見ることができ、またその建築家ひとりひとりの「人となり」まで教えてもらうことができ、大変有益なサービスでした。
これから建築家と家を建てる方に一言
最初に自分たちが「こういう家にしたい」という要望をきちんと伝え、あとは信頼して任せた方がよいのではないでしょうか?ただ、それは、途中で要望を全く伝えないということではありません。
これは、自分たちの思い描いているイメージへの舵取りを、建築家にお任せするということです。
自分たちの要望を、建築家に最初にきちんと理解してもらい、そのあと伝える要望が、最初に伝えたイメージや意向からずれていないかの判断をしてもらうのです。
そうした意味でも、自分たちのイメージするものを深く理解してくれる方との出会いが大切ですね。
はじめにHさんとお話しして、どんなことをお感じになりましたか?
ご主人がグラッフィックデザイナーであるということで、ご夫妻共に、美学について厳しいお考えをお持ちであると思いました。そしてそれは、私にとっては嬉しいことでした。
私は美しい建築をこそ、設計したいと思っているからです。
具体的にはどのような形でご要望に応えていったのですか?
主たるご要望は、観葉植物をたくさんお持ちで、春・夏には表に出し、秋・冬には屋内に入れたいということと、ゴールデン・レトリバーの老犬がいるので、以前私がやはりゴールデン・レトリバーを飼っていらっしゃる、小川邸(新建築住宅特集2002年11月号)を設計したときに探したノンスリップ性のあるきれいな淡いピンク色をしたイタリアンタイルを絶対使いたいというものでした。
問題は前者です。私はお話をお伺いしたときは、温室のような家かなと思いました。
敷地を拝見して、四周に良い風景がありませんでしたので、温室のような透明な家ではないと思いました。
瞬間、空に連続する家をイメージしました。
実際には、2階にバルコニーを持った主空間LDKを位置づけ、断熱及び遮熱に配慮しつつ、白く光る天井をいただいた家として提案させていただきました。
Hさんとのお打合せはいかがでしたか?
美しい建築を目指そうという共通認識がありましたので、気持ちよくできました。
これから建築家と家を建てる方に一言
紀元前五世紀に老子が言った言葉「建築の本質は、屋根や壁や柱のような物にあるのではなく、それらによって囲まれた虚なる空間にある」は、不滅の言葉であるように私は思います。建築の本質は空間にあるのです。
しかし現実にはスピリットのある建築、素晴らしい空間性を携えた本物の建築はまれにしかありません。
住まいに於いては、空間を感じる歓びに心ふるわせる時を持つことができれば、人生の様々な局面に、夢や希望や勇気を感じ取ることができます。
そしてその様な住まいは、住む方の大いなる味方であり、生きていることを祝福し、喜び・怒り・哀しみ・楽しみをともに分かち合い、今生きているという確信を与えてくれるのです。
日本のほとんどの住まいはそれほど大きくはないのですが、私は、有限の中に無限を、瞬間の中に永遠を感じたいと思うのです。機能的であるということは、当然のことです。家を建築家に依頼される方は、もっとより深く、精神的な物を求めて欲しいと思います。
データ
- 建設地
- 東京都目黒区
- 竣工日
- 2005年2月
- 設計
- 椎名 英三
- 施工会社
- 株式会社宍戸工務店
- 構造
- 混構造
- 敷地面積
- 92.28平米(27.9坪)
- 生活スタイル
- 単世帯住宅
- 種類
- 新築
本体価格
総工事費(税別)から、それぞれの敷地や建主の事情によって変動する解体工事、仮設工事、杭・地盤改良工事、引込工事、外構工事、冷暖房・空調工事、 その他建物本体に固定されていないものの工事を除いた金額。実際にかかる費用よりも坪当たり10~30万円ほど安く見積もられます。
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